般若の面 Part01
恥かしい...恥かしすぎる...
自分は今電車の中にいる...しかも、髪の毛を扇のように立てたまま...
今日は、バンドのグループショットを撮影するために、全員集合して良いロケ地がないか探しに行くのだが、いつも送ってくれていたゆうれいちゃんが出先から直接行くというので、電車に乗っているのだ。
集合場所でやれば良いじゃん? っていう声があると思うが、この髪の毛にするには2時間以上かかってしまうので、メーク以外は自宅でするしかなかった...
車内で自分を見ないものはいない、しかもみんなが目をまん丸にして驚いている...
(つづく)
般若の面 Part02
なんとか恥かしい車内を抜け出し、2駅だけの長旅は終わった...駅のすぐ近くに待ち合わせ場所である、ゆうれいちゃんの友人宅があるので、そこまでの我慢だ。
恥かしさに打ち耐えた自分は、もう、そこまでに1日分の体力を消費したようだった。
少し待って全員集合。これから、ロケ地を探すのだが曇っているし、もうすでに夕方だった。
にもかかわらず、外でも撮影を少々。
だが、多分映りが悪いだろうと意見が一致。
室内での撮影場所を探す...
そこに、1軒のお店が目に入った...
(つづく)
般若の面 Part03
そのお店は、普通の写真屋。
どこの町にでもあるような、小さな写真屋である。
その中へ髪の毛を立ててメイクしてる男どもが、ずかずかと入り込んでゆく...「撮影させてくれませんか?」と
店主もかなりびっくりしたようで、どもりながら了承してくれた...「ど、ど、ど、どうぞ」
その写真屋に撮影する施設があるかどうかも知らないのに、聞いてみたらあっさりだったので助かった...
(つづく)
般若の面 Part04
とにかくお金をかけたくなかったので、写真はバンドで用意したカメラで自力で撮る。
結局、撮影するだけで使用料も請求されることなく、バンド的には最高の展開になった...
現像も、違うところでやったんじゃなかったっけ? この場を借りて断れない状況を生み出したことに、反省しております!!
写真は、結構な枚数を撮っていたので、もう安心だ。あとは仕上がりを待つだけ。
...そして、現像が終わりみんなで写真を見ているときだった。
あれ?...
(つづく)
般若の面 Part05
Mantyのギターって、模様があったっけ? みんなして、写真を覗き込んでしまった。
当時のMantyのメインギターは紫色のギターで、ギターをかまえた写真も撮っていた。
ギターのボディーに何かの模様が見える。
...が、Mantyは「模様なんてないよ」...
実物を見ると確かに模様なんてなく、だけど写真には全て同じところに模様がある...
光の加減か? と思い色んな角度から見てみるが、やはり、同じ所にはそのような模様は見えないし、条件の違う屋外の写真と室内の写真でも、同じように映っているのだ...
(つづく)
般若の面 Part06
その模様が、まるっきり般若の面だったのだ!!
そう、あの口が裂けて牙が生えて角がある、あれである。
どう見ても、誰が見ても、あの口を大きく開けた般若の面であった。
これだけでも、十分に怖いことなのに、更に後日、自分は予期せぬものを見てしまうことになる...
(つづく)
般若の面 Part07
当時の知り合いの中に霊感がとても強い「霊感少女Cちゃん」と呼ばれる人がいて(年上)、その人にその写真とテープを持っていってみよう!! ということになり、なぜかMantyを除くメンバー3人と、あっちゃんの当時付き合っていた彼女を入れた4人で、霊感少女Cちゃんのお宅に向かった。
機材車なので問題のギターも積んであり、到着するとギター・写真・テープの3点セットを持ち出して、お邪魔させてもらう。
アパートの2階にその部屋はあり、玄関の横にキッチン、引き戸を越えてリビングになっている部屋、そして、そのふすまの奥に寝室という構成の部屋で、自分たちはリビングになっている部屋にあるこたつの中に落ち着く...
(つづく)
般若の面 Part08
少し一服して落ち着いてから本題に入る。
まずは、問題のカセットを聴かせてみる。
そうすると「なんてことはない」といった表情で「こういうのは良くあることだからね。」って、"さらっ"っと言われてしまう...
人のたくさん集まる場所では良くある!! と...ちょっとした音ならわかるが? 今回のは、歌がきっちりと入っているのに...
テープのほうは、さらっと流されてしまったので、今度は写真である。
この後、自分ひとりだけが、いや〜な思いをすることになる...
(つづく)
般若の面 Part09
いよいよ、写真を見せてみる。
当然"あれ"が映っているのもいないのも...
で、見せて感想を聞くと、いまいちはっきりした答えが返ってこない。
どういうものなのかは良く見ないと...ということだった。
そして、急に寝室の方にCちゃんとその彼氏が移動する。何か彼女に異変があったようだ。
訪れた4人はコタツを囲んで取り残されてしまった。
その間「どうしたんだろうね?」とか「何が起きてるんだろう?」っていう疑問ばかりで、その寝室を覗く気にはならなかった...いや、なれなかった...というのが正しいか?
襖は4枚で仕切られており、真ん中の2枚が左右に開いていて寝室は見えるのだが、2人がいるベッドの上は見えなかった、が、その時...
(つづく)
般若の面 Part10
「ポロロローン」持ってきたMantyのギターが鳴る。
そして、ギターの弾き方を知らないCちゃんが、トレモロアームを使って音を鳴らす...Cちゃんに「降りてきて」いるのだろうか?
4人して寝室で行われてることに対し色んな思いがめぐる...あっちゃんの当時の彼女も「キャーキャー」言い始めてきた...
ギターの音が鳴り止み、二人の? 会話が聞き取れない声で交わされている...
もう、それだけで緊張と恐怖の頂点...というのに、自分の目に飛び込んできたものは...
(つづく)
般若の面 Part11
4人でコタツに当っていたが、その寝室の方を向いて座っているのは自分だった。
色々聴こえて来る寝室が気になりちょっと目を向けると、半分閉じている襖の端っこに光るものが見える。
暗くなっているので、何かなぁ? っていう具合にしばらく見つめていると、今度はその光っている部分の周りに、なんかうっすらと輪郭が見え始めた。
そう、その輪郭は人間のそれで、光って見えるのは目の部分だった...
自分の中ではかなりの長時間、見つめ合ったような感覚だった...
しばらくしてそれが消える...
(つづく)
般若の面 Part12
しばらく呆然としていた自分が我に戻る。
まだ、ふすまを見つめながら他の3人に話し始めた。
「今、変なもの見ちゃった...」そう言ってから、詳しく見えた状況を説明する。
「今も見えるの?」「いや、もう見えない」そんなやり取りが続く。
それからどれくらい経ったであろうか?
4人は大人しくコタツで見守っていたが、Cちゃんとその彼が、寝室からこちらの部屋に戻り、コタツに入って話をはじめる...寝室であった事の全てを...
(つづく)
般若の面 Part13
寝室で起きていたことの全貌...話はかなりハードだった。
自分は霊媒とかはほとんど嘘に見えて信じられないのだが、Cちゃん曰く、子供が「降りてきて」いたようである。
兄妹が関係していて、降りてきたのは妹だったかな?
結構田舎に住んでいた子供で、いつも裏にある山で遊んでいたという。
いつもの遊び場に大きな木が有り、その周りで...
だが、その山にも森林伐採の魔の手が迫る。
その子供たちのお気に入りの木も、作業員に切り倒されようとしていた...
(つづく)
般若の面 Part14
その子供たちは、木を切り倒されるのがいやで、作業員たちにすがり付いてお願いしたという...そういう情景が見えたと、Cちゃんは教えてくれた。
そして、ここからは少し記憶が曖昧なのだが、その子供(妹のほうが)が死んでしまう。
木を切り倒すときの事故だったか、病気だったか、そこらへんは忘れたけど...
それで、女の子が「降りてきて」Cちゃんにギターを弾かせていたのだと言う。
なぜ、関係があるのか? というと...
(つづく)
般若の面 Part15
その子供たちが大好きだった木は、Mantyのギターの元になった木だ...というのだ。
はっきり言って、これは眉唾だった。
ギターの原材料は、日本じゃなくて海外じゃない? っていう疑問があったから...
ただ、納得行かないのは、テープの歌は? この写真はなんなの? っていうこと。
それに先程見た。「目」は?...もう、その場では、色んなことがありすぎて、なにがなんだか分からなくなってしまった。
とにかくまとまっていないが...っていうか、こんなことがまとめられるわけが無いと思うが、これが全て。
これからも、バンドでライブやリハーサルを重ねれば、また色々起こると思うので、そのときは追って報告します...
(完)